「20年前に買った物件を売りたいけど相場が分からない…」「マイホームに憧れているけど一生賃貸生活かも…」。家の売買に関することは1人で悩むよりプロに聞くのが一番。オークランドで15年以上不動産セールスコンサルタントとして活躍するHarcourtsの一色良子さんに、今回は不動産の売買のポイントについて教えていただきました。
一色良子(いっしき・よしこ)さん
大阪府出身。1996年に移住し、2000年から本格的に資産運営コンサルティングを開始。2004年に不動産販売資格を取得、ニュージーランド最大手不動産売買仲介会社フランチャイズHarcourts(ハーコウツ)グループにて勤務。
オークションで家を売りましょう
日本在住の方だと、家をオークションで売るという想像がつかない方も多いですね。オークション自体、どんなものかあまりご存知でない方もいます。例えて言うなら、「築地のせり」でしょうか。絵画やアンティークのオークションと同じようなかたちで家も売買されます。
オークションのメリットは、買い手が競り合って値が付くので、ベストプライスで売れるということ。中には自分が保有する物件の値段が分からないという方もいらっしゃいます。例えば100万ドルの家をその前後の値段で売りたいとして、99万ドルで値付けして売りに出すとそれ以上の値段になることはありません。ところがオークションだと99万ドルでいいと思っていたものが、100万ドル、110万ドルと高値になる場合があります。あらかじめ家主様と私たちコンサルタントとの間で最低売却価格を話し合いますので、とんでもなく低い金額で売るということはありません。
家を売るには色々と準備が必要です
オークションで販売するには、事前に資金を投入しなければいけません。広告費用は平均して3,000ドル出資していただいていて、高額物件になると費用も上がります。不動産雑誌への掲載のほか、物件の前に建てる看板や、ウェブ広告に使用する写真の撮影手配。最近では写真だけでなく、ナレーション入りの動画を作るケースもあります。また、オークション当日の司会者のコストとして500ドル+GSTがかかります。
この費用は物件が売れる、売れないに関係なく家主様の負担になるため、先行投資をしたがらない方もいらっしゃいます。しかし、家を売るにはまず「この物件を売っています」という告知が必要で、どれだけ広く知らせられるかが鍵です。「ウォークイン」といって、看板を見て立ち寄った方がその物件を気に入り、購入されるということも少なくありません。
古い物件の場合、改装して家の価値を上げてから売ろうという方もいらっしゃいます。それも得策ですが、あまり個性的な改装はおすすめしません。最近では全体をオフホワイトで統一するのが流行りのようです。ただ、改装費にも5万ドルから15万ドルはかかるので、場合によってはそのままの状態で売りに出し、買い手に託すほうが良いケースもあります。もちろん、欠陥がある部分は修理しておいたほうが良いでしょう。
「高いから」と買うのを諦めないで
「オークランドは家が高いからもうマイホームは諦めた」というな話をよく耳にします。確かに、昨年のデータで平均額は100万ドルを超えています。しかし、あくまでも平均であり、200万ドルの物件もあれば逆に70万、80万ドルという物件も探せばあります。家を買う上で一番大事なのは、予算をどうするか。予算によって住むエリアや土地のサイズが決まってきます。エリアを絶対重視するのであれば、2ベッドルームのユニットかシティーのアパートメントを買うことをおすすめします。予算が足りない場合はだんだんと縮小していって、少し小さくても改装次第で素敵なマイホームになります。または少し離れた新興住宅街に行けば、新しくてきれいな家に住めて、通勤にも5分、10分違うだけ、ということもあります。あまり一つの方向に固執しないほうが良いでしょう。
世界レベルからすると、ニュージーランドの不動産価格はニューヨークやロンドンの半分です。買えるものを買えるうちに買っておいて、お子様の学区などの縛りがある間だけ自分はその地域の賃貸に住み、購入した家を貸し出せば、賃貸収入でその家のローンを支払うことができます。賃貸でも3LDKの一軒家は最低でも週500ドルはします。そういった金額を掛け捨てにせず、物件を保持するというのは長い目で見ると資産運営をする上で得をするのではないかと思います。
何よりも、家を買うには資金が必要ですので、銀行とよく相談しましょう。取り引きしている銀行一箇所に相談するだけでなく、「モーゲージブローカー」といって、資産などをヒアリングした上で複数の銀行の貸し状況から判断して融資を取ってきてくれる専門家を利用するのも手です。金利は高いですが、ノンバンクに融資をお願いする方法もあります。家の売買はタイミング。初めの一歩をいつ踏み出すかが大事です。
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