Vol.195NZ不動産コラム

「交渉」がキーワード!知っておきたい3つの売買方法


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 ニュージーランドで物件を売買する際に考えられる手段は「B y Neg.」「Auction」「定価」の3つ。日本人には馴染みのない不動産文化の中、どのような方法を取るのがベストなのでしょうか。今回で5回目となる不動産コラムでは、物件販売・購入の価格交渉事情について、オークランドで15年以上不動産セールスコンサルタントとして活躍するHarcourtsの一色良子さんに教えていただきました。

一色良子(いっしき・よしこ)さん
大阪府出身。1996年に移住し、2000年から本格的に資産運営コンサルティングを開始。2004年に不動産販売資格を取得、ニュージーランド最大手不動産売買仲介会社フランチャイズHarcourts(ハーコウツ)グループにて勤務。

交渉が全ての決め手「By Neg.」

不動産情報が掲載されている新聞や広告などに「By Neg.(=By Negotiation)」と表記されていた場合、価格交渉により物件を販売・購入することになります。売り手=家主とはまず3カ月間の売却依頼契約を結ぶことになるため、私たちはできるだけ迅速な対応を心掛け、エリアの相場感をキャッチし、物件の状態などを吟味するようにします。買い手=買主がいくらで購入できるかは分からないので、不動産売買仲介人とよく相談し、相場情報を仕入れてから価格交渉へ進むようにしましょう。
 例えば、家主の希望額が80万ドルだったときに「まずは70万ドルから」とオファーしてしまうと、売り手側からすると差額はとても大きく感じるもの。交渉の余地なしと判断され、断られることも少なくありません。しかし最初に75万ドルと提示してみると、数回の交渉の後に78万ドルで成立というケースもあります。結果的に2万ドルも安く買える現象が起こるのです。
 この売り手と買い手、両者の意向に耳を傾け、互いの妥協点を見つけるというのも私たち、不動産仲介会社の仕事の重要な部分であり、腕の見せどころです。
 買い手の中には金銭的余裕はあるにもかかわらず最低額から交渉しようとする人がいますが、これは逆効果になることがあります。
 可能な限り不動産販売コンサルタントと話し、売り手の希望価格を聞き出して、自分の予算にも合致する数字を提示した上で成立させられるよう交渉していく。時には、「この数字を受けないならもう買わない」という強気な発言も効果がある場合があります。ただし、他に買い手候補がいないことを確認した上で発言するようにしましょう。

売り手市場のベストオプション「Auction」

 私たちが家主に一番おすすめしているのは、オークション=競売。日本ではあまりなじみのない方法ですが、テレビなどで見る築地市場の魚の競りのように、家の売却価格が決まります。買い手が複数で競争することにより、価格が上昇し、売り手にとっては最高値で売却することが可能。また、当日に無条件で契約が成立するとい うのも魅力の一つです。
 ここで注意しなくてはならないのは、広告とオークショナー費用の事前予算組みが必要になるということ。通常は3,000ドル前後となっていますが、会社によっては時 に「売買が成立したら半額、または全額返金」というようなキャンペーンを行っていることもありますので、よく吟味し、自分にとって一番お得だと思う会社に依頼するようにしましょう。
 しかし、買い手側の視点から見てみると、オークションでの物件購入は無条件で手を挙げなければなりません。契約の条件などをしっかりと確認し、当日までに購入資金をどうするか決め、万全の状態で臨む必要があります。
 また、オークションは通常4週間プログラム。オープンホームからのオークションという流れの中、オークション日に近づけば近づくほど購入しづらくなるという事実はあるものの、経験上、偶然犬の散歩で道を歩いていたところオープンホームを開催していたためふらりと立ち寄り、オークション前日だったにもかかわらず最終的には購入に至った方もいらっしゃいました。
 加えて、どうしても外せない用事がある、あるいは海外にいるなどの理由からオークションに行くことができない場合でも、電話での参加や不動産仲介会社に予算を伝えて代理で挙手してもらうこともできますので安心です。

「定価=交渉不可」ではない

 価格が提示されている、いわゆる「定価販売」と呼ばれる形態の場合、価格交渉はできないものと思っている人は多くいます。しかし実は、5,000ドルから10,000ドルほどは価格の余地を持ち、交渉するチャンスがあるのがこの定価販売。
 例えば、79万5,000ドルの定価表示があった場合、5,000ドルを差し引いた79万ドルのオファーに、家主が応じることも多々あります。一方、複数の買い手がいた場合は、残念ながら定価額以上の80万ドルを提示して成立させることもあるので、その家の人気度で価格が前後するのが不動産価格マジックです。

インターネットが主流の不動産検索

 残念ながら、売り手市場となっている不動産業界では買い手側に購入方法を選ぶ余地がないというのが現状です。ただ、オークションに参加してみて予算を大幅に超えたら諦めて次のオークションに挑戦するという対処法もありますし、ローンなどが不確定であるならBy Neg.や定価提示の物件を優先的に見るということもできます。
 また、現在はインターネットで広告を探すのも非常に簡単で、現場に直接出向かなくてもおおよその状態が見極められる時代となりました。大手不動産仲介会社のリストが記載されているウェブサイト「realestate.co.nz」は 特におすすめ。寝室やバスルームの数、価格帯やBy Neg.やオークションなどの購入手段についてなど、基本的な情報を知ることができます。
 歴史的に物件の価値が飛躍的に上昇しているニュージーランドで、住宅の購入を検討しているなら「今が買い時」。今後も上がり続けていくということを考えると「今が一番安い」ので、思い立ったが吉日。まずは不動産販売コンサルタントに相談してみましょう。

カテゴリ:NZ不動産コラム
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