Vol.115 Career up NZ - ニュージーランドで看護師に


オークランド シティ ホスピタルの看護師になって約半年。まだ新しいことだらけ、暗中模索で毎日を過ごしてはいるとはいうが、とりあえず念願だった海外での就職に達成感がある。これ、と決めたらあきらめない。希望を貫いて自らの進む道を切り開いたさやかさんに話を聞いた。

オークランド・シティ・ホスピタル看護師 望月さやかさん【Profile】
望月さやか  1979年5月16日、埼玉県出身。
埼玉の高校卒業後、群馬大学の保健学科で学び、看護師の資格を取る。東京の総合病院で看護師として3年間勤務した後、イギリスへ留学。語学学校を経てエジンバラ大学の看護学科修士課程へ入学。卒業後一旦帰国したが、2009年10月にニュージーランドへ渡る。2010年9月にニュージーランドの看護師資格を取得。現在、オークランド シティ ホスピタルで看護師として勤務。

オークランド・シティ・ホスピタル看護師 望月さやかさんのろのろだけどがんばって難関IELTSを突破した。オークランド・シティ・ホスピタル看護師 望月さやかさん一番の仲良しの同僚はフィリピン人。オークランド・シティ・ホスピタル看護師 望月さやかさん会社には様々な機材が揃っている。オークランド・シティ・ホスピタル看護師 望月さやかさん趣味はクライミング。クライストチャーチ近郊のキャッスル ヒルがお気に入り。オークランド・シティ・ホスピタル看護師 望月さやかさんオークランドで友達をもっとつくりたい。オークランド・シティ・ホスピタル看護師 望月さやかさんオークランド・シティ・ホスピタル看護師 望月さやかさん

イギリスで修士の勉強。

中学か高校生の頃、テレビで「国境なき医師団」に関する番組があって、私はそれに影響されました。先進国の医師や看護婦などの医療チームが世界中の僻地や戦争に苦しむ地域に行って医療活動を行い、人命を救うというようなドキュメンタリーでした。私は将来そんな道に進みたいと思うようになりました。また手に職をつけたかったとか女性が活躍できる職場領域だとかいうこともありました。大学を出て看護師の資格を取り、都内の総合病院に就職しました。そこには3年間勤務しましたが、最初の2年間は腎センターと内分泌代謝科の混合病棟で、糖尿病や透析、腎移植を受ける患者を中心に看護しました。ごくふつうの3交代のシフトワークでした。そして、3年目に夜勤専門の看護師になりました。しばらくして、イギリスのエジンバラに留学しました。まずは英語をマスターするために語学学校へ行きました。日本を発つ時には、語学学校の後にイギリスの看護師免許取得のため、大学の看護学部へ編入する予定でいましたが、行くつもりだった大学が思っていたのとは様子が違いました。また、私は既に日本の大学で学び、看護師の資格を持っていましたから、学士過程ではなく、大学の修士課程に進んだほうがいいということが分かりました。たまたまエジンバラ大学に看護学科の修士課程がありましたからそこに入学。修士課程は1年間でしたが、とても難しくて勉強が大変でした。日本からイギリスにいった段階では、学校が終わったらイギリスに残って働くつもりでしたが、大学の勉強があまりにも大変で、心身とも疲れ果ててしまいましたから、それどころではなくなりました。とにかく修士課程が終了したら一旦日本に帰りたかったのです。

あきらめずに何度も受験

帰国して、以前に勤めていた病院に再び勤め、今度は脳外科の夜勤専門ナースになりました。貯金をしながら昼間は英語を勉強して、再び海外に出る準備をしていたのです。私にとって一番の難関はIELTSでした。何回も何回も受けました。IELTSを受けるのには労力もお金もかかります。何度もくじけそうになりました。でもある時、海外で既に看護師として働いている人のブログに「IELTSはお金の掛けどころ。何回でもあきらめずに挑戦すれば必ず受かる。」というアドバイスを見つけ、とても元気付けられました。その通り、わたしもあきらめませんでした。結果、7回目の受験でニュージーランドの基準をクリアすることができ、晴れてクライストチャーチへ来ました。2009年の10月のことです。最初の3ヶ月ほどは、あの、地震で被害にあった語学学校で英語を学び、それからクライストチャーチのポリテクニックで免許書き換えのためのコース、すなわち日本の看護師の資格を踏まえてニュージーランドの看護師の資格を取るためのコースへ行きました。そして、去年の9月にようやくこの国の看護師の資格が取得できました。ニュージーランドに到着してから約1年がかりでした。それから職探し。本当はクライストチャーチか南島で仕事を見つけたかったのですが、なかなか思うような就職先がなく、結局、オークランドの仕事に就きました。

勉強会に積極的に参加。

ここ来てまだ日が浅いので、ずっとわけの分からない雲の中でがむしゃらに働いてきた、という感じがあります。最近、ようやくほんの少し慣れて余裕が出てきました。今は腎臓内科+移植病棟で看護しています。移植病棟には腎臓移植、肝臓移植、すい臓移植の患者がいます。仕事の内容は日本と比べて基本的に同じですが、ここの病院にはクリニカル ナース スペシャリストと呼ばれる、医者と看護師の仲介役や、ナース エデュケーターと呼ばれる患者を担当していないシニアナースがいて、私たちの仕事をサポートしてくれます。そこが良い点です。状況にどう対処したらいいのか自信がない時には指示を仰げる心強い見方がそばにいるからです。また仕事の一環として、給料をもらって勉強会に行かせてもらえます。最近では、病院で新しいシリンジポンプを導入しましたが、その使い方の講習会に参加しました。また、痛みに関する勉強会や、特定の病気に関する勉強会など、いろいろなトピックがしょっちゅうあり、気が抜けません。言葉の壁はやはりあって、私がいつも気にかけているところです。でも、この国にはスタッフも患者もいろんな国の人がいますから、お互いに助け合っています。私が日本人で、英語が100%でないことは、周囲にちゃんと理解されていています。もちろん、だからといってそれに甘んじていてはいけないと思いますが。先日、幻覚を訴えている患者さんがいて、その方の幻覚に出てきた「とかげ」という単語を私が知らなかったためにちょっとした行き違いがありました。普段私たちは、たいてい3人のチームで患者さんに接していますから、その場はチームに助けてもらって切り抜けましたが、正直言って少し落ち込みました。もっともっと経験を積んで英語も上達させたいです。

常に新しい体験ができて面白い。

海外で看護師として働くというひとつの目標はかなえられました。最初にニュージーランドに来たときはワーホリでしたが、就職と共にワークビザをとることができ、今ではレジデントビザがもらえました。ここまで来たんだという自己満足感があります。とはいっても、まだここで働き始めたばかり。ずっと右左も分からず無我夢中でやってきたような感じですから、今のところはしばらくここに留まって、仕事がしっかりできるようになりたいと思います。オークランドならではの、いろいろな所から来たいろいろな文化を持った人と触れ合って、新しい体験ができるのは面白いです。英語の問題はあるけれど、ニュージーランドで働くのも楽しいですよ。

カテゴリ:医療
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