世界のコーヒー業界での定評で、「ニュージーランドのカフェやレストランのコーヒーのクオリティーは高い」と言われている。それを影で支えているひとつがAllpress Espresso社である。世界各地よりコーヒー豆を輸入して自社でロースト、またエスプレッソマシーンの販売も含めてトータルなサポートをしている。Managing Directorのマイケル・オールプレス氏のコーヒーとの関わりは屋台のコーヒーショップから始まったという。
【Profile】 |
私はコーヒーに関わって約24年になります。若いころにはシェフとして、また趣味のスキーをするために世界をいろいろと周り、かつてはシアトルにも住んだこともあったのですが、当時は『スターバックス』が2店舗ありました。ニュージーランドに戻り、オークランド大学やビクトリアパークマーケットでエスプレッソのカートビジネス、つまり屋台のコーヒーショップをスタートさせたのです。その後、会社を興し、豆のローストも始め、現在はコーヒー豆を輸入し、自社でローストし、その販売、そしてエスプレッソマシーン販売を行うAllpress Espresso社を経営しています。
トータルでのクオリティーコントロール
私たちの取引先の90%以上がカフェやレストランになります。Allpress Espresso社は品質をとても大切にしていますので、一般の方が購入できる場所も簡単に手に入るスーパーマーケットという展開ではなく、専門店などで取り扱ってもらうようにしています。品質をキープするために、コーヒー豆のクオリティーにもこだわっています。コスタリカ、ブラジル、コロンビア、タンザニアなど、豆の生産地に直接足を運び、コーヒー農園の人と話をしてさまざまな課題をクリアーにしてきました。電話や書類だけで済ませていてはお互いの真意はわからないからです。コーヒー豆は言ってみれば生モノですから、しっかりとした管理が必要なのです。最近ではスマトラとタンザニアへ行き、一緒においしいコーヒーを作るんだ、という気持ちになれたと思います。
こうして輸入した豆を自社でローストします。これには最新のマシーンを使っています。新しいがゆえに、その性能に賛否両論があることも事実です。しかし、多くのアドバンテージがわかっており、Allpress Espresso社の味を決めるキーファクターになっています。そして、バリスタトレーニングです。ローストについての知識や、コーヒーを実際に淹れる実習など、基礎的な部分から応用まで、専属のトレーナーによって最大6名までで、トレーニングを行っています。中には日本人の生徒さんもいますが、ほとんどの日本人の生徒さんはちゃんと理解しようとしますし、真面目に取り組みますので常にいい成果を出しています。日本人のバリスタとしての資質は特に高いのではないでしょうか。
派生するサポート
また、ニュージーランド国内でのエスプレッソ発展のためにイタリアのエスプレッソマシーンメーカ『La Marzocco』のニュージーランドとオーストラリアの代理店として機械の普及にも努めてきました。このマシーンの優れた点は、エスプレッソを淹れるうえで大変重要な温度管理が安定しているところにあります。この機械でニュージーランドのバリスタチャンピオンシップのサポートもしました。単に品質の高い豆を提供するだけでなく、それを淹れる機械や、技術も一緒に提供することで、各カフェやレストランのコーヒーのレベルが上がります。これは国全体のレベルを押し上げることにも貢献しているのだと思います。最近では、一般のお客様へのサービスとしてCafe FinderというiPhoneのコンテンツも作りました。Allpress Espressoのコーヒーがどこで飲めて、どこで買えるかという案内になっています。
グローバルな展開
現在、Allpress Espresso社はニュージーランドとオーストラリアを中心に活動しております。シドニーでのビジネスは10年以上にもなります。そして今後の新たな方向性として、グローバル化を考えており、今年の9月にはロンドンでのビジネスをスタートさせ、来年の8月には日本での展開も予定しています。日本で展開するということは決して容易なことだとは思っていません。しかし、日本はコーヒーの品質を理解しているマーケットですし、パッケージやその他においても非常に洗練さを必要としていると思います。クオリティーを追求している私たちのコーヒーはそういった意味では日本のマーケットにはとても合うような気がしています。すでに日本からはいくつかオファーをもらっていますが、一つのアイディアとして、まずはアンテナショップをつくり、日本でのビジネス感覚をつかもうと思っています。ただ、店舗となる不動産物件がなかなか見つかりにくいということがあります。私たちの構想では、ロースターと併設したカフェを考えておりますので、倉庫になる部分とカフェになるスペースとの両方が必要になります。ロンドンではこうした物件を見つけるのに約一年かかりました。また、場所も大切なことの一つです。オークランドのように中心地に簡単にそうした物件を見つけることができる土地は珍しく、シドニーなどでも空港と中心地のちょうど真ん中あたりになっています。これまでニュージーランドとオーストラリアを中心にしてきましたが、今後は世界中の人にAllpress Espressoのコーヒーを届けていきたいと思っています。