半世紀あまり前にニュージーランドへ移住して来てから、この国でいろいろなことをやってきたVic Sargent。85歳の今は、ITの専門学校AMES ITアカデミーの重鎮として伝説的な存在である。一見、物腰の柔らかいチャーミングな紳士という印象だが、その言葉からはみなぎる自信とシャープなブレーンがうかがえる。そろそろ後進に席を譲って好きな庭仕事に専念したいとはいうものの、まだまだ現役。
【Profile】 |
必要が生んだコンピュータートレーニングの学校。
1980年代の終わり、ニュージーランドの経済は大恐慌に見舞われていました。多くの中間管理職、働き盛りのオフィスワーカーが仕事を失い、その再就職も困難でした。オークランドのCBDの貸しオフィスの3分の1が空室だったと言えば、どれだけひどい状況だったかがお分かりになるでしょう。私は仲間4人と、そんな状況を早く抜け出すため、主に40代の失業者の再就職を助ける機関、AMESを発足させました。 Aotearoa Mature Employment Services がその正式名称でした。当時、中間管理職にあったミドルエージの人たちでコンピューターを使える人はほとんど居らず、彼らの再就職を援助するためには、実際に使えるコンピュータースキルを訓練することが必要不可欠に思われました。ガランと空き家だったAMP(保険会社)のビルへ出向き、AMESの趣旨を説明してビルの一画をタダで使わせてもらえるよう説得。ビルのオーナーとしても、ビルをカラのままおいておくよりテナントが少しでもいるほうがセキュリティ面などいろいろと都合がいいですからね。それから、古くなって粗大ゴミ同然になっていたコンピューターをどこからかタダでもらってきて修理し、まず基本的なキーボードスキルから訓練を始めました。実際に職についたときにすぐに実践で使えるスキルを訓練するのが目的でした。次第に高度なコンピューターのトレーニングもするようになり、生徒数も増え、NZQAの認可も受け、多数のコンピューターの寄付も受けました。 AMESがAuckland Multimedia Education Servicesとなったのです。以降、学校が成長するにつれて何度か引越しをしましたが、2002年に500 Queen Streetの現在の校舎に落ち着きました。今では国際認可証や、Level7Computingなど高いレベルのサティフィケートやディプロマを取得できる過程など、さまざまなコースがあります。また、オフィス、フォト・プログラミング、デザイン、システム、テクニカル、エンジニアリング、ハードウエアなど、専門分野も多岐にわたり、ITの総合専門学校になりました。AMESは今では、Mature Employ-ment Services でもMultimedia Servicesでもなく、単に「AMES IT」アカデミーとして知られ、高い評価を受けています。
前進のみ、が私のモットー。
私がニュージーランドに移住してきたのは1953年、28歳のときでした。妻と2人の子供と一緒に着いたこの土地には希望がありました。しっかり働きさえすれば、比較的簡単に実になるという確かな希望でした。まず私は、平日は水道関係の土木プロジェクトで働き、週末には近所のファームを手伝う、という生活を始め、一生懸命に働きました。その甲斐があってわずか1年そこそこで、少しの土地を買い、家族と住む家を建てることができました。私のモットーはずっと若い頃から「前進のみ」。イギリスには1度も戻っていません。後退するようなことはしなくてもいいでしょう。常に前を向いて生きていく。だって、人間、成長するか、死に果てていくか、のどちらかしか道は無いのです。ビルダーとして働いた年月の後、マーシャルアーツの先生として道場を始めました。マーシャルアートはイギリスの海軍にいたときに覚えたものです。当時オークランド中心部のローンストリートに道場がありました。1966年にはオークランドで開かれたマーシャルアート国際大会の企画運営に携わりましたが、この大会は日本が戦後初めてチームを国際試合に派遣した、記念すべき大会となりました。そのとき私はオークランド柔道協会の会長でした。それからその後、主にカリブ海を航海するリサーチ船の船長となり、数年を海の上で過ごしました。我ながら、本当に典型的なキウイでしょう?(笑)いろんなことにチャレンジする、チェンジを恐れない前向きのライフスタイル。私のモットーが成させる技なんですよね。
世界市民、という概念でいられるニュージーランド。
ニュージーランドの良いところはたくさんありますが、中でも特に重要だと思うのは、ここがコスモポリタン社会だということです。この国には、貧富の差とか、人種差別とか、なんにつけても両極端が無い。だから、ここに住む誰もが、自分がシチズン・オブ・ザ・ワールドであるという気持ちでいられます。
ITの世界にも国境は無く、全てがインターナショナル。ですから、ニュージーランドは最新のIT技術を学ぶのに適した場所だといえると思います。もちろんIT語である英語を使う国だというアドバンテージもあります。
世界に通じるスキルを国際的な環境で学ぶ。どんどん進化していくIT技術の情報の中にいる。ビデオ中継やオンラインで海外のIT資格試験を受験することも可能。コースで即、実践で役立つスキルを身につけたら、より良い就職ができる。
現在のところ、AMES ITアカデミーにはインターナショナルスチューデントは少ないですが、これからもっと受け入れて、ますますインターナショナルな環境を作っていきたいと思います。
AMES ITアカデミーで勉強するメリットとは?
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ニュージーランドのITトレーニング学校であるAMES ITアカデミーは 1、毎年500人以上の卒業生をニュージーランド、世界のIT業界に送り込んでいます。 2、卒業生の就職率は85~95%。IT業界がグローバル化しているので、世界的に人材不足が深刻化しています。 3、ディプロマコースの卒業生は1年間のオープンワーク・パーミットが支給されます。 その間に就職活動が可能です。 |