Vol.92 Career up in NZ ニュージーランドでヘッドシェフとして活躍


漫画「美味しんぼ」に刺激されてシェフになる道を選んだ浩司さん。厨房で働き始めて18年経った今でも、頻繁に新しい食材の組み合わせや、新しい調理方法に出会って、それを身につけるために研究する。ますますおもしろいという。グルメ文化がこれから大きく花開く可能性いっぱいのニュージーランドで、そのパイオニア的存在になれればいい、との抱負を語ってくれた。

ニュージーランド・シェフ・木南浩司さん【Profile】
木南浩司さん 1972年生。福岡県北九州市出身。名門進学校小倉高校を卒業後、辻調理師専門学校のフランス料理科へ進む。フランス、リヨンのレストランで修業後、地元福岡のホテルに就職。その後、イタリア料理店、フランス料理店を経て、2001年からニュージーランド大使である松本氏の公邸料理人としてウェリントンで2年余り生活。そのときのライフスタイルが気に入り、2007年半ばに再びニュージーランドへ。オークランドの日本食レストランを経て、今年よりストーニーリッジ・ワイナリー ベランダ・カフェ、ヘッドシェフとして活躍中。独身。

自力で自分の将来を切り開いていきたかった。

ニュージーランド・シェフ・木南浩司さんニュージーランド・シェフ・木南浩司さんスタッフ、マット(左)、マヌー(右)と。ニュージーランド・シェフ・木南浩司さんニュージーランド・シェフ・木南浩司さんニュージーランド・シェフ・木南浩司さん素晴らしい眺めのレストランニュージーランド・シェフ・木南浩司さん創造性に満ちたフュージョン料理ニュージーランド・シェフ・木南浩司さんワイナリーのオーナー、スティーブンとニュージーランド・シェフ・木南浩司さん趣味は未だにマンガです。「美味しんぼ」原作者の雁屋哲さん会ってお礼がしたいです。

親の反対を押し切って、調理師学校のフランス料理科へ進学しました。高校は大学進学校でしたので、在学中、周りから「詰めこめられている自分」を感じて、窮屈でした。そこから脱出し自力で自分の将来を切り開いていきたかったのです。きっかけは「美味しんぼ」です。大好きなあの漫画に感化されて、食べ物、料理、食文化というものに深い興味を覚えました。フランス料理科は2年間のコースでしたが、まず1年は日本で料理の基礎と、フランス語を学び、2年目にフランスへ留学、レストランで実際に働いて修業する、というものでした。リヨンにあるミッシュラン1ッ星のレストランの厨房で僕1人が日本人という状況でした。絞られましたよ。ヘッドシェフにしょっちゅう怒鳴られました。もちろんフランス語で。僕はあのフランス語のボソボソッとした響きが好きです。とってもいい感じじゃないですか。(笑)

ホテルで学んだ様々な料理

小倉に帰ってまずホテルに就職しました。宴会係、つまり、パーティー料理を専門に作るのが仕事でしたが、その仕事の進め方は分担作業で、たとえば、誰かが冷菜の担当になると、毎日毎日そればっかり作っているということになります。それで、ひととおりの料理のバラエティを担当するのに4年かかりました。ホテルですから、宴会係りの他に、中華だの、和食だの、ケーキだの、と、いろいろな専門のキッチンがありますよね、僕はそこに勤めた4年の間に、そんな所で働くシェフたちとも仲良くさせてもらって、彼らからいろいろな知識やアイディアを得ることが出来ました。

公邸料理人としてニュージーランドへ

公邸料理人としてニュージーランドへ来たのは2001年3月のことです。名古屋にあるレストランで働いているときに人づてに話が舞い込みました。シェフになって10年が経っていました。公邸料理人は、在ニュージーランド日本大使が主催するオフィシャル・ディナーのメニューを決め、作り、供すのがその仕事です。十数名という比較的小ぢんまりした設宴をすることが多かったですが、メニュー作成から、材料の仕入れ、調理のタイミングなどまで、全部1人で細かくプランを立て実行しなければなりません。どの料理もいちばん美味しい状態でお客様の前に出せるよう気を配ります。プレッシャーですね。ウェリントンにいた2年余りの間に、いろいろな貴賓のために料理させていただきましたが、その中でのハイライトは、皇太子殿下ご夫妻にお出しする料理を作ったことです。

ニュージーランドのライフスタイルに魅かれて

ウェリントンから帰国した後、4年ほど、名古屋にあるレストランの料理長として、自分の健康も省みず、ただ仕事、仕事に追いまくられました。ストレスがたまりました。ニュージーランドのゆったりしたライフスタイルに魅かれて、ふたたび、ニュージーランドに来たのは約2年前です。オークランドにある日本食レストランの料理長として、ワークビザを取得し、そこで1年と数ヶ月、働きました。僕は日本人なのに洋食シェフですから、寿司や天ぷらなどの和食の技術はここで覚えました。いつまでたっても勉強です。

シェフとしてやりがいのある仕事

ストーニーリッジ・ワイナリーのレストランで、今年の1月から料理長として厨房を仕切っています。ストーニーリッジは奇遇にも、僕が2001年にニュージーランドに来たときに初めて訪れたワイナリーですから、因縁を感じますね。オーナーのスティーブンが、葡萄を植えるところから築き上げて、今ではニュージーランドを代表するステイタスです。ボルドースタイルの赤ワイン、ラ・ローズは特に名高くて1本200ドルもする素晴らしいものです。風景、気候に恵まれたワイヒキ島の、美しいワイナリーで、上等なワインにマッチする料理を作る生活。シェフとしてやりがいがあります。ニュージーランドはまだファインダイニングの風潮が広まっていなくて、その点で発達途上にあると思います。これから伸びる、大きく花開く可能性を秘めています。僕はこの国で、グルメ文化を築くパイオニア的な存在となれたらいいなと、思います。

ニュージーランド・シェフ・木南浩司さんニュージーランド・シェフ・木南浩司さん
ニュージーランド・シェフ・木南浩司さんニュージーランド・シェフ・木南浩司さん

Stonyridge Vineyard Veranda Caf
80 Onetangi Road
Waiheke Island, New Zealand
09 372 8766
www.stonyridge.co.nz

カテゴリ:レストラン/フード
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