Vol.59 Career up in NZ 総合眼科EYE INSTITUTEテクニシャン


ニュージーランドの総合眼科EYE INSTITUTEのテクニシャンとして、マシンを使いこなしテキパキと働く、岸本京美さん。京美さんは、ニュージーランド中から多くの患者が日々訪れる総合眼科 EYE INSTITUTEで、自身が経験して今でもハッピーだという、視力回復手術『レーシック』を担当している。とくに『レーシック』では、目の手術で不安に 思う多くの患者たちと接する彼女。彼女の明るくて思いやりのある人柄に精神的に助けられた患者も多いだろう。そんな京美さんに、視力回復手術『レーシッ ク』について説明をしていただいた。

総合眼科Eye Instituteテクニシャン 高校卒業後、テレビのブラウン管製造会社に就職。1991年に短期留学ではじめてニュージーランドに来る。1992年ワーキングホリデーメーカーとしてニュージーランドに再度渡航 し、ニュージーランド生活を満喫。1995年からロトルアで7年間働く。2003年、オークランドの総合眼科EYE INSTITUTEの通訳に転職。2004年、同総合眼科でテクニシャンとして仕事開始。趣味は、旅行とワイン、食べ歩き。(なので、なかなか体重が落ちないのが、もっかの悩みです。)

EYE INSTITUTE 125 Remuera Road, Auckland
日本語Free Dial 0800-5274-548 Tel 09-522-5772 ext 743
kyomi@eyeinstitute.co.nz (日本語でどうぞ)

ニュージーランドでワーホリ生活を満喫

「高校を卒業して、テレビのブラウン管を製造する会社で働いていた頃に、よくカナダに旅行で行っていました。小さな頃から、『赤毛のアン』の物語が大好きで、 その舞台のカナダが憧れの地だったんです。何度もカナダに行っているうちに、ますます気に入って住みたくなって。それで英語を勉強しだしたんです。働いていた会社には海外支社があり、英会話のクラスが週2回あったので、それに参加していました。英語の先生はアメリカ人で年齢も近いことから仲良くなって、彼女のアメリカの家に遊びに行くついでに、カナダに行ったりもしていましたね。1991年のお正月休みにカナダで短期留学をしようと思い、ホームステイの留学プランを探していたのですが、たまたま時期が合わなくてニュージーランドに来ることにしました。ニュージーランドという国をほとんど知らなかったので、とても魅力的な国に感じて。ニュージーランドの短期留学では、ホームステイファミリーのおじいちゃん、おばあちゃんと仲良くなって、それで日本に戻ってからニュージーランドにまた来たいと思っていました。」1992年の年末に仕事を辞めて、翌年2月からワーキングホリデーでニュージーランドに来た京美さん。「まず、ビーチリゾートタウンとして有名なフィティアンガで2ヶ月くらい英語学校に通って、その後、クイーンズタウンに半年間いて、スキー三昧の生活をしていました。夜はレストランで働いて、仕事の後にみんなで飲みに行ったり、踊りに行ったりする毎日でワーホリ生活を満喫していました。それから、旅行をしながらオークランドに戻ってきて、また以前のホームステイファミリーと一緒に過ごしました。ワーホリを終えて日本に帰国してからは、ニュージーランドにまた戻って来るぞ、と思いお金を貯めていましたね。」

自身の経験が仕事に繋がる

日本に帰国した翌年に、京美さんはロトルアで仕事を見つけてニュージーランドへ再度渡航。「7年間、ロトルアで販売員とツアーガイドをし、それからオークランドに引っ越しました。その頃、『レーシック』に出会ったんです。2002年4月に私自身が視力回復のために『レーシック』の手術を受けました。手術後に本当によく見えるようになって、とてもハッピーだったんですね。それからしばらくして、『レーシック』の日本人カウンセラーの求人募集を見つけ、自分の経験からも、是非、この仕事がしたいと思いました。面接では、私自身が『レーシック』の手術の経験者であることも気に入っていただけて採用となりました。仕事は、『レーシック』のために日本人の患者さんが総合眼科アイ・インスティテュートに来られる時に同行して、通訳をしてサポートすることでした。遣り甲斐はあったのですが定収入の仕事ではないので、働き始めてしばらく経った頃にフルタイムの仕事がしたいと考え始めていました。そんな時、アイ・インスティテュートのドクターに、はじめは週10時間からテクニシャンとして仕事をしないか、という話をいただいて働くことになったんです。その2ヵ月後に週32時間勤務になりました。テクニシャンの仕事では、まず視力や角膜の厚さと形をマシンで測り、『レーシック』の手術に適するかどうかを判断する検査をします。その検査で手術に適していると判断されたら、次に手術のための検査をします。その検査では角膜の68箇所にレーザーをあて、どのように矯正すればいいかという情報を得ます。角膜の表面はボコボコしていてスムーズではないんですよ。
手術に適しているかどうかは、視力と角膜の厚さのバランスで決まります。近視が強ければ強いほど、厚い角膜が必要で、角膜が必要な厚さがない場合は手術が不可能です。角膜が薄くても、近視が弱い人は手術が可能です。他にも、円錐角膜の方は、角膜の一部が洋ナシ形で急な傾斜になっているため手術に適してないなど、いろんなケースがありますね。」

技術の発達を遂げる『レーシック』

「ニュージーランドでは目の調子が悪い方は、まずGPあるいはメガネ屋に行きます。ニュージーランドのメガネ屋は日本の眼科のようなもので、オプトメトリストという資格を持っているんです。次にそこで治療が無理な場合に、紹介状を貰って総合眼科に行くことになります。私の働いている総合眼科アイ・インスティテュートには、オークランドからだけではなく、ニュージーランド中から患者さんが来ます。それは、つねに新しい技術やマシンを取り入れている伝統的な総合眼科だからだと思います。白内障、緑内障、 網膜全般、充血、なみだ目などの病気を治療しているのですが、ドクターが8人おり、ドクター毎に専門に分れています。ニュージーランド人にとっては、目は歯と同じように大切で患者数が多いので、アイ・インスティテュートは実績もあり技術も高いですね。また、当院では視力矯正手術を約30年前に始めたのですが、約14年前にアメリカで行われていた『レーシック』の手術をニュージーランドにはじめて広めたドクターもいて、現在でも彼はここで手術を担当しています。初期の『レーシック』は手術後の痛みがひどく、目が空気に触れないためのパッチをはずすのに2、3日かかっていたそうです。私が手術を受けた2002年の頃は、痛みは感じないくらいに進歩していましたが、ナイフのようなもので角膜を切り、フラップを作り、そこにレーザーをあて角膜を矯正し、フラップを戻すという治療していたので、説明の時に、『切る』という言葉が入り、患者さんにとっては今よりも怖いイメージがあったと思います。今年の5月に新しく導入された『イントラレーシック』の手術では角膜を切る必要がなくなり、レーザーを角膜の上からあてることによって気泡を作り、その気泡が連なってできるスペースがフラップになります。そこにレーザーをあてて視力を矯正します。日本では、『レーシック』の知名度が低いのですが、ニュージーランドでは頻繁に行われているのでドクターの手術経験も豊富で、患者さんにとっても安心感があるようですね。また、『レーシック』の手術は1度だけではなくて、何年か後に視力が落ちた場合も角膜の厚さが十分あれば手術が可能ですし、手術をしてもコンタクトレンズも使えます。もちろん、近視のみならず、遠視の方も『レーシック』の手術を受けられます。ただ『レーシック』は、視力がマイナス7くらいの人までしか適用できません。それよりも目の悪い方は、コンタクトレンズのようなものを目に入れる視力回復手術が適応できます。また、老眼は老化現象ですので『レーシック』手術には適しません。
目に価値を置いているニュージーランド人は、一回の手術でコンタクトやメガネが不要になることは素晴らしいことだと思っているようです。ニュージーランドはメガネが高くて800ドルくらいしますし、夜中に地震や火事が起きたり、車の事故でメガネを失った時など、いざという時にメガネを探すことから始めると逃げる時に大変ですし。なんと言っても視力が回復すると世界が変わりますね。」

安心できる技術の陰にある言葉と心のサポート

「『レーシック』を受ける患者さんは、まず検眼および角膜検査を行い手術の適正を判断し、DVDで手術の過程を理解し、それに対して質問をして納得した上で手術の 予約をするという順番で手術に至ります。そして、手術までは全て無料です。手術の日は、病院に来てから病院を出るまでだいたい1時間半くらいで全てが終わります。手術で実際にレーザーがあたっているのは近視や遠視の度合いによっても違いますが、片目が約30秒です。手術が終わった時点で、ほとんどの方はかなり見えるようになりますね。その後、目を擦らないための保護用のシールドという透明のレンズを着けて、その日は帰ってもらいます。シールドは水中メガネのレンズのようなもので、目の周りに強力な粘着剤でくっつけられます。そして翌日に病院にまた来ていただいて、シールドを外し、目のチェックなどをします。その後は、定期的に検眼を行います。」目の手術ということで不安になる患者さんが多いことから、患者さんの気持ちを和らげる気遣いを大切にしている京美さん。「患者さんには、『目が良くなると、掃除をいっぱいしたくなりますよ』とか、『レーシックでは、シールドを取るのが一番痛いですよ』って声をかけていますね。実際に、シールドはかなり強力に着いているので取った時に、『本当に、これが一番痛いわ』、『あぁ、ブラジリアンワックスみたいだわ(ビキニラインの強力な脱毛用ワックス)』と患者さんに言われたり。患者さんと話をしている時は、笑いや自分の体験談も入れて話をしていて、少しでもリラックスしていただければいいなと思っています。」
通常はテクニシャンとして働く京美さんだが、依頼がある時は『レーシック』の日本語通訳も行っている。 「今、ニュージーランドにいる方で日本に帰る前に『レーシック』の手術を受けたい方は、手術後から出国日まで1カ月間あれば可能です。手術は、検眼や手術の日時が上手 く合えば、翌日に行うことも可能ですが、日時がドクターと合わない場合は、手術まで少し時間がかかることもありますね。『レーシック』で日本語通訳を希望される方は、ご予約をしていただく必要があり、日本語フリーラインまたはEメールで連絡を直接いただくと、カウンセリング、検眼、手術をアレンジし、日本語対応をさせていただきます。」テキパキと仕事をこなし、明るくて活発な京美さん。そして、気遣いを忘れない彼女の優しさによって精神的に助けられた患者さんも多いだろう。「この仕事に就いてまだ2年半くらいですが、新しいテクニックや情報が毎日のように入ってきます。この分野の進歩には終わりというのが ないので、その波に遅れないように自分自身にも活を入れて新しいことを身に着けていきたいと思っています。」

カテゴリ:医療
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