品質も価格も世界最高の牛肉である和牛。和牛のおいしさの秘密はもちろんのこと、おいしい肉の見分け方や食べ方、どう育てられた和牛がおいしくなるのかなどを取り上げていきます。
おいしい牛肉代表「和牛」とは
「和牛」といえば日本のおいしい牛肉代表として大人気ですが、近年ではニュージーランドでも「Wagyu」として徐々に認知されてきています。日本の和牛として認定されている品質は「黒毛和種」「褐毛和種」「日本短角和種」「無角和種」と4種類。うち最も知られているのが黒毛和種(黒毛和牛)で、日本国内で生産される和牛のうち90パーセントを占めるほどです。肉の味わいが非常に優れ、神戸牛や近江牛、松坂牛などのブランド牛は全てこの黒毛和種に当たります。
ニュージーランドで代表的な肉牛として知られているのは、アンガスやヘレフォード。牧草のみで飼育され、一般的には体重が500~600kgになる頃に肉となって食卓へ上がります。対して日本では通常、生後9カ月頃から穀物を与え始め、肉となるのは27カ月頃、体重800kg前後の時です。ニュージーランドの肉牛との間に生まれるこの体重差により、日本のステーキの方が30パーセントほど面積が大きくなりますが、長年の習慣から「大きい=固い」というイメージがあるためか、ニュージーランドの消費者にはあまり好まれません。
日本の和牛農家から世界に
かつて北海道の和牛農家や民間企業により、240頭の和牛と1万本の人工授精用精液がアメリカに輸出され、それがオーストラリアに渡り、今ではWagyuとして世界に輸出されています。ニュージーランドでも同様に、Wagyuの生産は盛んになってきました。
日本原産の和牛がオーストラリアからさらに世界に売られているとして、日本のテレビ番組でも取り上げられるようになっていますが、日本で行われてきた200年ともいわれる品種改良の努力の結果として、「日本の農家は和牛輸出の恩恵を受けるべきだ」「日本の農業も外国の力を借りて改良されてきたのだから問題ない」などとさまざまな意見が飛び交っています。
ニュージーランドの「Wagyu」
ほとんどのWagyuが牧草牛として飼育されているニュージーランド。ニュージーランド人にとって穀物牛は食べ慣れていない食材であるため、マーケティング観点で見た場合は、「より質の良い牧草牛」という位置づけにした方が効果的なのかもしれませんが、同時に、日本と所縁のある人たちの間では「日本の和牛のおいしさが忘れられない!」という声も多く上がっています。
現在ニュージーランドではすでに、日本の技術を用いた穀物牛(Wagyu)の飼育も始まっており、これは高所得者をターゲットにしたものです。味わいが深く豊かで、病気予防やアンチエイジングに役立つオメガ3脂肪酸を多く含む日本式の穀物Wagyu。今後大人気になること間違いなしです。