留学の先には何があるだろうー。
今月からスタートする新企画「Career Interview」では、留学を経てニュージーランドで働く日本人を紹介していきます。初回は語学学校、専門学校での勉強を経てクライストチャーチのレストランでシェフとして働く豊嶋宏尚さんにお話を伺いました。
豊嶋宏尚(とよしま ひろし)さん
大阪府出身。1997年にワーキングホリデーでニュージーランドへ。クイーンズタウンの語学学校で学び、ワークビザ取得のために日本食のテイクアウェイ店を始める。2000年に永住権取得。2009年から2年間、クライストチャーチのCPIT(Christchurch Polytechnic Institute of Technology、現Ara Institute of Canterbury)の調理師コースで学び、調理師の国際免許を取得。2010年から現在に至るまでクライストチャーチのブティックホテル「the george」内のレストラン「Pescatore」でシェフとして働く。
「ワーホリ」がきっかけで20年
ニュージーランドに初めて来たのは1997年くらいですかね。ワーキングホリデーで。日本では美容師をしていました。実家が美容室で。その頃魚釣りに凝っていて、マス釣りがしたくてクイーンズタウンに来て。ニュージーランドは色々釣れますよ。北島に行けば釣り天国みたいな感じです。住んでみて良かったのでビザを取り直して。今年で20年です。もう帰れなくなっちゃいました。
ワーキングホリデービザからワークビザに切り替えるために、お寿司とかお弁当のテイクアウェイのお店を自分で始めたのをきっかけに料理の道に入りました。ただ、日本でやっていた仕事と畑違いだったので、調理の免許を持っていなくて。免許を取るためにクライストチャーチのCPIT(Christchurch Polytechnic Institute of Technology、現Ara Institute of Canterbury)の調理師コースに入りました。
学校は楽しかったですね。料理の種類は幅広く、冷たいものから温かいものまで全般を勉強しました。西洋料理に限らず、全てですね。1年でニュージーランドの調理師の免許が取れて、2年で国際免許が取れました。授業のスケジュールもあまりタイトではなくて、週3日学校に行って、残りの4日は働くという生活でした。
Pescatoreのキッチンとの出合い
学校のカリキュラムの一環で2週間のワークエクスペリエンスというのがあって、学校と契約している飲食店のキッチンに実習に行くんです。その実習先が今の職場でした。「実習が終わった後もここで勉強させてほしい」という話をヘッドシェフにして、しばらくいたら仕事をもらえて。今はシェフの1人として働いています。ペーストリーが主ですが、人数が少ないキッチンなので、料理は一通りできます。
今の仕事にはやりがいを感じています。他のキッチンでは学べないような、経験できないようなことをここではさせてもらえますし。なかなか手間のかかるものだと、よそではやらせてもらえなかったりするんですが、ここではいいものを作れば、細かいことにとらわれないでいい仕事をさせてもらえる。シェフの指示通りに動かなければいけなかったり、キッチンだけじゃなく色々な人と関わらなければいけないので大変なこともあるけど、常に楽しく仕事をすることを心掛けています。
新たな目標に向けて再出発
実は、今年ここを退職して、また勉強に戻ろうと思っているんです。仕事をちょっとお休みして、リンカーン大学でフードサイエンスの勉強をしたいんです。料理の仕事を続けてきて、どうせなら栄養管理とか、もっと深いところまでやってみたいなと思って。管理できた食事を作れるようになって、それを生かした仕事ができればと考えています。
ニュージーランドのいいところの1つに、「やり直しがきくこと」があると思います。日本だと1つの会社に入って定年までっていう流れがあるけど、こっちは自分のやりたいことが見つかればまた一から勉強して仕事を変えたりってことができますからね。それはとてもいいと思います。一緒に働いている仲間も、何か目標ができればお互いに応援し合ってという感じです。
今の生活は20年前には全く想像ができませんでした。ワーキングホリデーが終わったら日本に戻ってまた美容師をするって思っていたんですけど。ニュージーランドに来て良かったって思います。自分にとってはここがもう「ホーム」ですね。
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