Vol.139 ニュージーランドでバリスタを育てる日本人トレーナー


カフェ業界が盛んなニュージーランド。それだけにバリスタの数も多い。そんな国でバリスタのトレーナーとして働く刈菜さんに、人に知識/技術を英語で教えることの難しさ、やりがい、この仕事を通しての永住権取得、そして今後の展開を聞いた。

キャビネットメーカー【Profile】
照井刈奈(Terui Karuna) Cafe Manager/ Trainer
東京都出身、埼玉県育ち。5月28日生まれ。日本大学法学部卒業。カナダ留学、アメリカ周遊、オーストラリアワーキングホリデーを経てニュージーランドに。日本ではスターバックスで3年半働く。Diploma in Hospitality (Operational Management) Level5を取得。現在はNtec内のカフェマネージャー兼トレーナー。レストラン巡り、旅行が趣味。NZ国内では、Abel TasmanとDoubtful Soundがお勧め。


今に至るまで

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かるなさんのラテアート
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とにかく毎日が忙しい。でもとても充実しているという刈菜さん
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休みの日は、次の週に向けての充電
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ニュージーランド全土を旅行し、この国に魅了された
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就職をする際には、一緒に仕事する仲間とのチームワークが必要
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カリナリーフェアでの彼女の生徒作品
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NtecのHead of Hospitality Faculty - Rachel Grayと

2007年にニュージーランドにワーキングホリデービザで入国し、Hospitality Englishを最初に学び、その後、スターバックスで就職をし、ワークビザを2008年に取得して1年間働きました。NZのバリスタの資格が欲しかったので、Ntecのバリスタコースを受講しました。これがきっかけで、カウンセラーさんに今後の相談などさせてもらった際に、Hospitalityに興味があることを話すと、Diploma in Hospitality (Operational Management) Level5を紹介され、これだ、と思い、入学を決意。そして、卒業の何ヶ月か前にNtec学内にカフェを作る話があり、カフェマネージャーをしないかというオファーを頂きました。学生の間は、スターバックスでパートタイムのスーパーバイザーとして働いており、卒業後このままスターバックスで働いていくという方向でありましたが、不安としては、スーパーバイザーとしては永住権申請は厳しくなっているということと、日本とニュージーランドでのホスピタリティーにおける「common sense」の違いをまだ完全に把握していないということがあったんです。例えば、非常時には、日本でなら、お客様やスタッフに指示することはできても、ニュージーランドでとなると、まだ不安もあったんです。でも、Ntecのカフェでなら、自分の学んだ学校だし、先生やスタッフのPersonal Careがとても良いので、コースを修了してもまだまだ学べることがあるんじゃないかって思い、このチャンスに賭けてみようと思い、オファーを受けました。卒業後のGraduate Job Search Visaの間は、Ntecカフェのマネージャーをしつつ、週に1、2回夜か週末にスターバックスでスーパーバイザーの仕事も続けていました。スターバックスは基本的にはアメリカ式なので、ニュージーランド式にも触れたいと思い、Mozaik Cafe, Colunbus Cafeで日曜だけボランティアでバリスタとしても働きました。そして、Ntecのカフェで働き出して3年後には無事永住権が取れました。

人に教えるということ

私の仕事ですが、Ntec内のカフェの運営をし、沢山の生徒をトレーニングするというものです。私以外はほぼ学生で、自分がやらなくては何も起こらないという状況ですので、責任感、指導力がついたと思います。そんな中、つい先日、夜間のショートバリスタコースを教えるという機会を学校から頂きました。私の資格Diploma in Hospitality (Operational Management) Level5に含まれている単位に、Unit Standard 4098 Use standards to assess candidate performance があり、このQualificationを持っていないとNZQAのUnit Standardを審査・評価することはできません。 私がカフェでトレーニングする生徒達は、カリナリーフェアにも出場します。このコンペティションで生徒たちが審査されるのは、作ったコーヒーの質が完璧かどうかではなく、コーヒーを作るに当たっての手順や質管理などをきちんと理解して行っているかかどうか、コーヒーマシンや作業場をきちんと綺麗に片付けられるかどうか、ミルクやコーヒーの廃棄率を気にしているかどうかなどです。衛生面が一番大事なポイントなんです。例えば、カップの外側にコーヒーがこぼれた場合は綺麗にふき取らなければ減点ですし、その時に台拭きを使ってしまったら大減点です。姿勢にも気を使います。服装も、実際のバリスタたちはカジュアルですが、学生たちのコンペティションはプロフェッショナルに見えるように、白シャツにブラックボトムが必須です。しかし実際、忙しいカフェでは、素敵なコーヒーを作るバリスタも、1枚の布巾で台もスチームワンド(コーヒーマシーンの一部でミルクを温めるノズル)もカップも拭いてしまうことが本当に多くありますし、コーヒーマシンを定期的にメンテナンスやクリーンできていないこと多くあるのも現状です。カフェでのトレーニングも、コーヒー作りだけに固執するのでなく、カスタマーサービスは勿論、スタッフ同士助け合い、掃除もきちんとして、その他飲食関係の衛生面やオペレーションの管理もきちんと理解してもらえるように、日々彼らと接しています。

生徒が活躍できるように

私のカフェからの卒業生の数人は、某チェーンカフェでの仕事を初め、早くにスーパーバイザーに昇進したり、バリスタとして雇用された小さなカフェで突然一人でオープンやクローズを任され、売上げ管理や日報も含む業務も任されるようになったりもしています。某有名ホテルの飲食部門やレストランで働き始めた学生たちは、コーヒーマシンがきちんと掃除されていないのを見て、自ら掃除し、上司を驚かせ、コーヒーセクションを任されるようになったりということもありました。そんな感じで、コンペティションに出場するような学生たちや、私のカフェで頻繁に働いてくれるボランティアの子たちにはスタンダードなコーヒースキルを持ち、どこででも働けるようなバランスのとれた人材になって、ニュージーランドのホスピタリティ業界に出、その先、深いコーヒー知識やスキルを伸ばしていくのも良し、マネージメント方面にすすむのも良し、どんなチャンスでももつかめる様になってほしいと思います。 できるだけ沢山の生徒にコーヒーのEntranceに立ってもらえたらと思いますね。

元生徒として、スタッフとしての刈菜さん

Ntecのthe Head of Faculty of Hospitality、Rachel Garyからの評価。「刈奈は、常に前向きで新しい知識や、技術を学ぼうとする姿勢がありました。Ntecが学内にカフェをオープンするとなった際には、彼女が第一候補であったのは間違いないです。カフェのオペレーションの理解はもちろん、スキル、経験も言うことはなかったので。また、彼女自身がコースを修了したことで、生徒への理解もよくできていると思います。彼女を見ていて、生徒から好かれ、尊敬されるのがよくわかります。そして、常に生徒とカフェをよく観てますね。最近のバリスタコンペティションで生徒達が獲得した賞は、彼女の仕事に対する誠意と責任が反映されていると思います。」

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